そういえばな話、
病みうかに提出するつもりで書いていたSSせっかくなので公開供養します。
推敲してないので読みづらいかもしれません…
「
ナツメ」の二次創作SSです!好き勝手書き散らかしました!追記からどうぞ!
▼「ナツメ」二次創作SS
コンビニから出てきたマサはたった今買ったばかりのアイスの包装を奴らしい豪快さで破って店の前のゴミ箱へ押し込んだ。
いかにもなソーダの安っぽいブルーが目に眩しい。目を細めた俺を見て、何を勘違いしたのか「一口どうすか」などと聞いてきたので「お前が全部食え」と言っておく。
嬉しそうにアイスにかぶりつく姿は猛暑の中に見たなら微笑ましくも思えたろうが、今は日も真上に照る正午とは言えすっかり夏も終わりに近付いて秋の気配が感じられる九月である。腹壊しそうだな、と薄ら寒い思いでそれを眺めていると、アイスキャンデーとは別にもう一方の手にスマートフォンを持ったマサが時間を確認しながら俺に言った。
「メシ、どうします? やっぱラーメンスかね~~」
言いながらスマホの画面をいじっている。周辺地図でも見てるのか、あるいはクーポンを吟味しているのか。すっかりラーメン腹になって期待の眼差しを向けてくるマサには悪いが、答えはどの質問にも「否」だった。
「今日は無理だ。一人で食って来い。」
「えっ、なンか用事スか?」
「ああ、ペットが熱出したんで、帰って看病してやろうと思ってな。」
俺が答えると、マサはギョッと目を見開いて「理事長ペットなんか飼ってたんッスね!?」と裏返った声で叫んだ。
「犬すか、猫すか?」
「猫。」
「へえ~~っ、写真とかないんッスか? 見てえス!」
「マサ、お前、見たことあんだろ。」
「いやねえッスよ! 初めて知ったンスから!」
「……そうか?」
とにかくそういうわけだから、とマサとはコンビニ前で別れて自宅へ向かった。
自宅と言ってもほとんどペットのためのような、都心から離れた場所に位置する集合住宅の一室だ。
ここ数年で建てられた新しいマンションだが、立地条件が厳しいためか住人はまだ少ない。
カードキーで部屋の錠を開け、開いた入り口の隙間から身体を滑り込ませるようにして入室し、すぐさま後手に扉を閉める。オートロックなので鍵をかける手間はいらない。
靴を脱ぐ前に一度立ち止まり耳を澄ませると、部屋の奥から微かに「何か」動く気配があった。起きているんだろうか。
廊下を進んで突き当たりのドアを静かに開ける。カーテンを閉め切ったままの薄暗い室内の片隅で、愛おしいいきものが蹲り震えていた。
そばへ行って膝を突き、片腕でその頭を胸に抱き寄せると「彼女」は小さく息を呑んだようだった。
「ただいま、キティ。」
赤ん坊のように無防備なつむじにキスをして「彼女」の顔を覗き込む。両手で頬を包むといつもよりほんのりあついのでまだ熱が下がらないらしい。
初めて「彼女」と会った頃より、最近はまた随分肌が白くなった気がする。熱を出しているというのにその顔は青白い。
じっと見つめ合ったまま、目の下の薄い皮膚を親指の腹で優しく撫でると怯えた風に「彼女」のまつ毛が震えて思わず笑いが漏れた。
――可愛い人だ。
目尻と鼻の頭へ順番に唇を押し当て、頬に垂れ落ちた横髪を耳にかけながらその少し上に留められたバレッタを見る。今朝着けてやった黄色のリボンのバレッタ。いつも赤やピンクが多いからたまには他の色も、と思って買い与えてみたのだがよく似合っている。
「……ミミィみたいで可愛いですね、お嬢さん。」
彼女はぎこちなく笑った。